ステラショット3で、ZWOカラーCMOSカメラ撮影時の不具合(示された原因と対策について)
これまで、ZWOカラーCMOSカメラと、ステラショット3 (3.0eアップデータ当時)で、
下のが不具合がおきて困っていました。ほかからも同様な症状の方の声が出ていました。
今回、アストロアーツ(以下AA)さんよりこの原因と対応策が示されました。
(また別件で「カラーバランスがおかしい」との声を出している方もおりました。)
私は下記症状(「カラーCMOSカメラ撮像ソフトとして実用上では使えなかった」)に関する
原因と対策について、AAさんの公式発表、およびこれまでのメールから、私なりの解説です。
また、今回、この下記事象以外でも問題や対処を拗らしていた原因について、私なりの見解も加えます。
【起きていた事象】
①これまで他の撮像ソフトで問題なかった、白色LEDフラットパネルを用いたフラット補正で色が転び
画像処理で色バランスが補正しきれなくなった。
⇒ 今回の見解では、データは欠損しているわけではなかった、と読み取れなくもなく、
また、以前は「実害はない」との当初公式見解があったが、撮像ソフトとして実質使えなかった。
実体をとらえられておらず致命的であった。
前述の、カラーバランスのクレームの事象と、原因が切り分けができていなかったのだろう。
②ライト画像データを確認すると(バラ星雲撮影)RGBのRのヒストグラムが左に寄って圧縮されている。
画像が緑に転んでいる。
③ライト画像データのヒストグラムをディベイヤー前をASI FITSViewでヒストグラム確認すると、
高輝度部がなくなっているようにみえる。
⇒今回の見解では、データは圧縮されているだけで画像処理ソフトで可逆かのような表現であるが、
割って小数点捨てられて掛けても元の値には戻らず、
また割る値NによってA/D変換時のbit数を捨てていくようなものに近いと思えなくもない。
log2(N)ぶんくらいA/D変換のbit数を捨ててるに等しいことにならないか?
アップデータ - ステラショット3 (astroarts.co.jp)
ウェブヘルプ: 撮影した画像のカラーバランスを調整したい(2024/4/26) | AstroArts
【ZWOカメラ】ホワイトバランスの設定で階調が圧縮される現象について | アストロアーツの屋上ch (astroarts.main.jp)
【判明した原因】
1)ステラショット3 3.0eまでは、オートホワイトバランス補正された画像をがFitsデータとして保存されていた。
2)そのオートホワイトバランス補正はZWO提供のSDK機能によるもの。
3)補正のしかたは、Gを固定のまま、R,Bで調整を行うやり方のようである。
※ RやBが卓越する撮影対象では、その2色が飽和しないように補正される。
4) ステラショット3 3.0e上では、ホワイトバランスの設定項目はなく常に内包であった。
(これが今回の現象の原因だと分かるまでにAAさんは時間がかかったのでしょう)
【原因と、発生した事象をつなぐ仕組みの分析】
私がトラブルが発生したのは、
A) 画面いっぱいの ばら星雲 を長時間露光したものであった。
Rが卓越した画像であり、ステラショット組み込みのオートホワイトバランス機能により
Gに対し、Rが計算で圧縮されて保存された。
B) フラット撮影は、ほぼホワイト光源(白LED)&ヒストグラムが飽和しない控えめな露出で行った。
フラットフレームには、オートホワイトバランスが動作していなかったことになる。
C) AをBにてフラット補正をした結果、画像処理ソフトで補いきれないレベルまで色が転んだ。
白い壁を撮影したり、系外銀河の撮影では再現されなかったのは、オートホワイトバランスが
機能しない条件であったためと考えらえる。
【対応策】
・カラーバランスクレームから実装された、いわば「”マニュアル”カラーバランス調整機能」を使う。
そのために、3.0fにアップする必要がある。
・3.0fで実装された、「”マニュアル”カラーバランス調整機能」にて
R, Bの調整値を、”50”に設定(つまり固定)すれば、オートホワイトバランスを殺したたことになる。
Gは50が固定と考えられている様子。
アップデータ - ステラショット3 (astroarts.co.jp)
ウェブヘルプ: 撮影した画像のカラーバランスを調整したい(2024/4/26) | AstroArts
【ZWOカメラ】ホワイトバランスの設定で階調が圧縮される現象について | アストロアーツの屋上ch (astroarts.main.jp)
【本質原因】
・フラット補正などの画像処理が行わことは予期できている(ライト・フラット撮影などのボタンもある)にも拘わらず、
オートホワイトバランス補正されたデータを保存する仕様であるのが致命的。
・ステラショット3では、電視観望(ライブスタック)を実装したので、そのためにオートホワイトバランス補正が
行われたほうがよいとの判断をして実装されていたのかもしれない。
・だだし、それは電視観望(ライブスタック)の画面上表示だけに適用すればよく、
オートホワイトバランス補正されたデータを保存する設計は望ましくなかった。
(ASI Airとかはどうなっているのでしょうか?)
【対処上での課題】
・ホワイトバランスのクレームにも翻弄されて、原因の分析・切り分けができていなかった様子。
・本質原因究明よりも、事象の対応に追われてしまっていた様子。
・対処に追われたこと、少ない担当で対処し、広い目線・マネジメントの介入がなかったため、
事象を正しくとらえることや、対処、顧客対応ができていなかった。
・「純国産」の売り、国内市場、これまでも自社分析でユーザーの年齢層が高いこともなどと鑑み、
デジカメから移行の、色がナチュラルに表示されて当たり前、と考えるユーザへの対処を想定しなければ
ならなかったが、それが不足もしていた。その対処にも追われてしまっていたのではないか。
3月まではステラショット不具合は少ない担当さんで対処されていた様子でした。
また、4月上旬まではこの原因を掴み切れていなかったようで、下記ヒントを差し上げたりしていました。
>左がそのステラショットで撮った画像です。高輝度のデータが欠損しています。
>これではどう画像処理しようとも、無いデータは無い、ので画になりません。
>遠征で8分×30ショット撮影して全滅でした。
>再現して原因究明したく、あるいは再発の可能性を減らしたく、以下お教えください。
>Q1:左のようになってしまう可能性のある間違った使用法があるか?
>Q2:Q2が分からない場合、左のようになってしまう可能性のある内部処理が
> ステラショットでありますか?
>例えばライブスタック表示であるとか、ライブビューとか。
>もしそうであれば、その直後は発生する可能性があるなど考えられますので、
>避けたり、再現の確率を上げるために何度も試してみたりするようにいたします。
>お教えお願いいたします。
上記「内部処理」がオートホワイトバランス補正だったようですね。
まさか、意図的に実装されているとは私は全く気付いていませんでした。
AAさんは途中からしっかりと向き合っていただき、今回の解決に結びつきました。
改善されてよかったです。これなら他人にも奨められます。
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