「フラットが急に合わなくなった」問題 調査と解決策
みなさんも苦労、奮闘されているフラット補正。
わたしはあまり細かく気にしていないせいか、これまであまり問題にぶち当たってこなかったものの、
今回はフルサイズの意味がなくなるくらいの影響が出て、対策に奮闘しておりました。
その問題は、もう2月の遠征から傾向が出ていて、たまたまかと放っておいたら4月遠征でも発生。
やはり気づいた時点で調査、対策を打つことは趣味でも重要でした。
FSQのF5で撮影時のみ、急に四隅のフラットが合わなくなったのです。2月より前の遠征では
合っていたのに。
画像1
既に検証後画像が左にありますが、まず症状は右の画像です。フラットを当てて明るくなる隅と、
暗くなる隅が出現。しかし、F3では発生しないのことが、原因究明までの気づきを遅らせました。
いろいろ画像処理上の問題を疑って、遠回りをしてしまいました。
そもそも、ZWOの6200/2400系をカメラメーカーのバヨネットマウントで接続しようとすると、
現在はニコンマウントしか販売されていません。フルサイズをニコンマウントで運用すると周辺減光と
いうより、ほぼケラレでキビシイのは確かです。さらには過去画像をよく見れば、F3もF5も四隅は
フラット補正が完璧とは言えません。
画像2
画像1の右のように、症状の四隅で明るい・暗いが異なるのは、何等かの非対称性があることを
示唆しています。しかし画像2のように四隅の減光は対称であることを再確認。
であればフラット画像に問題があるだろう、とフラット画像を眺めましたが、いまいちわかりません。
そこで、フラットを撮り直しつつ機材チェックをしていると、FSQの伸縮フード部でフードが傾いていました。
画像3
固いレンズキャップの付け外しでフードが遊び分だけ傾いてしまっていたのでしょう。いつも
伸ばしっぱなし運用なので気づきませんでした。
結果、フラットパネルをわざと傾けてフラットを当てると、F5では画像1の左が再現されました。
恐らく非対称性は、フラットパネルを光軸に傾けて当てていたことだろうと原因推定できました。
以前はF5で問題がなかったのも説明できます。
あと原因推定できないのは、「なぜF5で症状が出始めた2月遠征でもF3では問題がないのか?」
これはもう、再現実験で確かめていくしかありません。F3でもフラットパネルをわざと傾けてテスト。
しかし、F3では何も影響が現れませんでした。これはむしろ事実と合致します。
推測ですが、F3ではレデューサーがマウントのすぐ近くにあるので、マウントによるケラレの影響が
出にくいのだろうと考えました。
これで解決! としても良いですが、根本対策を打つべく寛容化を狙うことにしました。
接続の大径化です。K-Astecさんの、テーパーマウントシステムを投入しました。
画像4
内径が48㎜(ニコンマウントの内径部分は40㎜もありません)の接続から、54㎜に拡大。
画像5
とても素直な、光学系由来のみのなだらかな光量分布になりました。
念のため、フラットパネルを大げさに傾けてフラットを撮っても症状は発生せず、これで安心です。
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