浄土平と私 ペルセウス座流星群観望記とともに
8月12日は、私と子で初めての遠征での天体観望、初めて子と2人だけでの浄土平訪問をしました。
初めて子供を連れていくのでペルセウス座流星群観望をメインとして、機材はAZ-Gti+C5と
スカイメモS+カメラレンズと控えめにしました。
さらには故HH氏とともに20年前には浄土平でよく時を共にしていた人生の先輩が、子供を連れて
約20年ぶりの浄土平訪問したいとのことですので日程を合わせました。
浄土平を軸とした、さまざまな思いが蘇ってきました。
故HH氏や関東からの星仲間との遠征を楽しんだ20歳過ぎの2000年前後、、、
HH氏が天文を一時引退?しいつも1人で訪問、現地の方々の楽しく過ごした30歳前後、
独身でしたから、月2回遠征、GWや夏休みは5連泊とかしていた自由と放埓の日々、、
浄土平はもちろん空は暗く、観望にも撮影にも良いところですが、「特別」ものすごく
星が良く見えるところというわけではありません。
しかし私にとっては「特別」な想い入れがあり、そこに行くだけで他では見られない空が
私の心を通じて見えるところです。
私が「浄土平」という場所を知ったのは、1985年夏、小4くらいなのでしょうか。
ご存知の方も多いであろう、この本がきっかけです。当時星が好きだったからこの本を
手に取ったわけではありません。この表紙のシールが物語っている通り、夏休みの
読書感想文の課題図書だったのです。
物語の内容に心をうたれのはもちろん、星の写真を美しく感じたことと、天の川も見たのことの
無かった私は、それが綺麗に見える「浄土平」という場所へいつか行ってみたいなと思いました。
自転車が移動範囲の子供、あまり家族旅行もできなかった時代、憧れでした。
実際、結果的に福島県に初めて行ったのは大学2年ですからね、、、。
そして1986年はハレー彗星の回帰の年です。それをきっかけに天文への興味が湧いてきました。
時々、天文ガイドなども買うようになりました。そして繰り返し「星になったチロ」も開きなおし、
「白河天体観測所」や星空への招待の舞台の「浄土平」はさらに憧れの場所になっていったのです。
特に見開きの浄土平のパノラマ写真は白黒であるだけに行ったらどんなところだろう、と
想像を掻き立てられたのでした。
他の学年の課題図書は残っていないのに、小4の課題図書だけ30年以上たった今も手元にあるのは
当然の流れです。
大学になり免許を取り、親の車を借りることができるようになりチャンスは訪れました。年3回の
合宿以外はあまり出かけない大学の天文部ではありましたが、私は天体写真に没頭していたので
過去の記事にも書きましたが、バイト先から生まれたつながりから当時の大人の天体写真趣味の
人々とつながりができ、遠征するようになっていました。
その方々の夏の主な撮影地が浄土平だったこともあり、夏の遠征地は浄土平でお決まりになってきました。
もう20年前でも星になったチロの時代のような「真っ暗な地平線から立ちあがる天の川が見える」空
ではなくなっていましたが、まだまだ良い空。
私も学生、遊んでいただいた大人の方々も独身の方が多かったので、2連泊、3連泊は当たり前、
昔は天気も安定していたのでフィルムで2時間露光の時代であっても3連泊目ともなると撮影ネタ切れ
なんてこともありました。
もう3夜目なんて眠くて、
シャッター板を抜き忘れたか不安になり、カメラをヘッドライトで筒先から覗き「フィルムを見た」とか、
「露出中起きたら朝だった」
なんてこともありましたっけ。
2000年代半ば私が社会人になると、先輩方は結婚したり、仕事が責任ある年齢に達する時期になり、
ことごとく引退。遠征組はほぼ私だけになりました。しかしそれまでに地元の先輩方々とのつながりが
できたため、浄土平に行けば天文の先輩がいる状態でかなり居心地がよくなっていました。
月2回行く、曇り予報でも出かける、夏休みなんて5泊なんてしていました。
そんな私も世帯をもち、近年は年2,3回の遠征となってしまっています。
震災があったり、御嶽山の噴火以降は各火山の観測と基準が厳しくなり浄土平も立入禁止となることも
あったりと、遠征できないときも幾度かありました。
地球環境の変化からか、特に7、8月の晴れは以前より少なくなっているような気がするけれども、
今でも関東からは遠く、標高もあるので綺麗な星空をみることができます。
ちょっと科学的になってしまいますが、ここでTHETAでの南方向と北方向の写真を貼りましょう。
福島市と、二本松、郡山市の灯りは目立ちますが、南西から北はほぼ光害なしです。
東側にある独立したトイレは、シーズン中は大抵利用可能です。
食事もできたレストハウスは残念ながら昨年で営業を休止、今は休憩所となっています。
浄土平の良いところは、もちろん、星は良く見えますが、歴史と一般への認知が高いため、
天文ファン以外でもなんとなく星が良くみえるところ、見ているひともいることろ、という
雰囲気が熟成されていて、とても居心地が良いことです。
(逆に、星を見に来る家族連れ、友達連れ、登山客、天文台の観望会にくる方の出入りは
多いですから、それを気にするスパルタンな天文観望派、写真派にはあまりお勧めできません。)
このような想い入れ、思い出が見かけ以上に星を綺麗に見せているのかもしれません。
私にとってそのような思い出、思い込みのある浄土平。
そこに、今度は自分の子供を連れてきて星を見せた。
新しい思い出を付加できました。
20年以上欠かさず、浄土平で星を見続けることができたあらゆる環境に感謝するのみです。
子供は22時に一度寝かせ、2時に起こし薄明までに61個数えたと言っていましたが、、、本当でしょうか。
喜んでまた行きたいといってくれましたので、よしよしです。
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コメント
私は、あなたのちょっと上の年齢かもしれません。大学時代に星空への招待に参加していました。とても懐かしく思いコメントさせていただきました。当時は、チロも貫禄ある姿で健在でした。会場は、写真の駐車場の少し上の小さな駐車場で、兎平キャンプ場(今はあるかわかりません)入り口付近でわいわいがやがややっていました。10年ほど前に浄土平を訪ねたとき、そこの天文台に当時の写真が飾られていました。そこに自分が小さく写っていることに驚きました。あれから社会人になり、活動は本当に細々となってしまいました。しかし近年、今の写真技術、赤道儀などの進化、望遠鏡が安く買えるようになったことなどびっくりし、活動を再開しています。どこかであなたと会うことができたら、お互いの懐かしい話ができるといいですね。
投稿: | 2019年8月28日 (水) 10時04分
古くから浄土平に来ている方々には、昔はよく兎平の駐車場で撮影していたことをお聞きしています。
本に載っている浄土平に移動して初の星空への招待の本会場?もこの駐車場だったようですね。
今はだいぶ周りの木も高くなってきました。
私もちょうど仕事と家庭で細々の時期ではありますが、天文をやめることなく続いています。
浄土平あたりでいつかお逢いできる機会が生まれることを楽しみにしています。
投稿: M&M | 2019年9月 3日 (火) 02時04分