フラット画像のトラブル (と撮影ポリシーのせめぎあい)
今年も1.心身健康、2.仕事と生活、3.趣味 の優先順位でいきます。
では早速、3番目の趣味と飛びましょう。
私は現在デジカメでの天体写真ですが、なぜデジカメなのかというと手軽だからです。同じ労力をかけた場合、クオリティーはもう冷却CCDに遠く及ばないのは自明です。冷却CCDと競うような、「手軽」という方向性から外れる要求をするならば冷却CCDに移行すべきです。
ではなぜそもそもデジカメは手軽なのか
* ワンショットカラーである。画像処理を殆どせずとも、だいたいの画像は得られる。
そして私のポリシーは
* 銀塩写真から「退化」するようなことはしたくない。
銀塩時代より、露出が短いもしくは同じで、銀塩以上のクオリティーにしたい。
(デジタルデバイスによって)「総」露出を長くしやすくなったために、クオリティーが高くなったのは当たり前。
それによって、長い総露出にしているのでは、技術に振り回されているようだ。
* あの夜は楽しかった、天気が良かった、行きの道が混んでいた、星が綺麗だった、の記憶と一緒の写真にしたい。
「何日もかけて作り上げた作品」が欲しいのではなく、「あの夜に撮った写真」が欲しいし、嬉しい。
* せっかく行った遠征なので1夜に2,3作品は得たい。
すると、撮り方の軸は
* 自分の銀塩時代と同じ2時間以内の露出で、銀塩を上回る画像を、デジカメで画像処理に手間をかけずに得る。
となります。
さて、軸を再確認したところで、3月末まで撮影冬眠中です。
大げさに軸を確認した理由は、軸とぶつかるような、解決すべき課題が出てきたからです。昨年までに撮った写真を確認すると、色むらが目立ちます。当初1時間程度の総露出が、昨年はポリシーぎりぎりの2時間になってきました。
コンポジットのおかけで画像を強烈に強調できるようになりましたが、そのせいで以前までは感じなかったフラットの不具合が浮き彫りになってきたようです。この1週間ほど、調査していました。
フラットの不具合はたいてい、光学系の減光によるものをうまく再現性よく取得できていないことが多いようでが(フラットを撮るときの光源が良くないとか)。
私の不具合もそうだろうと思っていました。だから試行錯誤して光源を工夫してフラットを撮り直せばなんとかなると。
が、よくよく調べると、105SDPでも45EDでも同じ模様のフラットむらが出ているのです。それぞれ8枚コンポジットのフラットで、1枚撮る毎に光源も適当に回転させているので、2者が全く同じフラットとなるわけがありません。これは原因決まりです。カメラ要因です。
これはフラットなしのライトフレーム(もちろん過剰に諧調強調しています255→10まで詰めてます)
これがフラット処理したもの(同じ諧調強調)
右側の白っぽいのは実際の処理程度では少々ほかのところよりも明るくなる程度ですが、全体に黄色ぽいむらのようなものが、実際の作例でも目立ちます。色分解すると、
G
R
B
です。GとRに乗っています。
そして現在使っていたフラット画像を強調して確認しました。諧調反転しています。
同じ模様が乗っていました。
さて本質原因ですが、カメラ要因であることは間違いなく、
フラットを撮った条件とライトフレームの条件差を考えるとフラット時は
① 冷却してない(わたしのは冷却デジカメ)
② 露出が0.3秒程度(シャッター幕差のことを考え遅くはしたが)
③ 感度設定が低い(ISO100)
④ 現地の温度とはちがう
となります。
この差をなくすことから始めるべきでしょう。
①③は簡単です。冷やして、感度設定を高くしてフラットを撮り直せばいいだけです。
④は?冷蔵庫に入れたりしてライブラリを作るくらいなら現地で撮った方が良くない?
②は、④とかねることが無理だ。今のポリシーから現地で露出と同じだけフラットに時間をかけられない。
で、ELパネルを作って、現地で30秒露光程度の8枚コンポジットのフラットを今後やってみようと決心しました。薄明開始後5分程度で取得するなら許せるでしょう。
ELをフィルムで相当減光する必要がありますね。ELと点灯回路から物色開始です。
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