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2011年12月12日 (月)

PHD Guiding パラメーター解説シリーズ3 <本編>

やっとここまで来ました、第1回目から一ヶ月以上かけてしまいました。

今日はパラメーターの話です。

私のPHDでの経験と、あと類推の部分もあります。よって、皆さんの参考として確実なのかは分かりませんが、EMシリーズとか私に近い環境(パックラッシュの程度とか、ピリオディックモーションとか)の方には少しは役立つかもしれません。

以下の解説の解説はまた後日入れます。

また、「PHDのグラフは満足なのに、撮影した画像が流れる」ケースもまた後日記事にできればと思っています。

=======================

■はじめに
まず、最低限のガイド鏡側の「強化策」(ガイドマウントや接眼部)は
予め講じてください。

そして、
ガイドのグラフはきれい(RMSも満足)なのに、「撮影した像が流れる」場合は、
ガイド(パラメーター)の問題ではなく、トータルな光学系の強度の問題です。
これはまた別の機会に記事にします。

まずここで評価したいのは、ガイド(パラメーター)の追い込みです。
よって「撮影した像」での誤った判断はせず、
あくまでも、PHDのグラフ(とRMS)を判断基準にして作業を進めることが大切です。


■私式では、下記のパラメーター以外はいじらない。
 Ver1.13前提で話を進める。

 RA Aggressiveness
 MAX RA duration

 Max DEC duration

 Min.motion
 Calibration steps

 Dec guide mode = Auto      固定
 Dec Algorithm  = Resist swiching 固定
 
 で、いじる前に一応デフォルトで一回やってみてください。
 デフォルトでうまくいくのに、沼に入ることはありません。


■まずとりええず下のパラメーターで試す。

 RA Aggressiveness
    80   にしてみる
 MAX RA duration
    1000  のまま


 Max DEC duration
   以前の解説で測定した赤緯のバックラッシュタイムの半分以下程度にしてみる。
   1秒強程度だったならまずは500に。

 Min.Motin
   以前の解説で得られる、あなたの目標とするRMSの2/3~1/2程度の数字にする。
   小さすぎると積極的に修正しすぎてハンチングの元になるし、
   大きすぎればガイドは甘くなる。

 Calibration steps
   以前の概説で測定した赤緯のバックラッシュタイムより短くする。
   目安を出すなら、バックラッシュタイムの半分以下。
   これでキャリブレーションに失敗するようなら適切に調整する。
   (→キャリブレーション時の移動が少ないなら大きくする。 )
   (→           移動が大きすぎなら小さくする。)

 これで満足な結果が出ないなら、下記それぞれの策を試す。


■赤経(RA)

(A.とB.の境目を定義するのは難しいので、どちらも試してみて。)

   A.赤経(RA)がハンチングする場合。
    ① Max RA duration    をハンチングがなくなるまで小さくする。。
       * 0.2秒程度小さくしては、ガイドを数分させて様子を見ると良いだろう。)
      * ハンチングが安定して収まるところを見つけたら、それ以上は小さくしない。)
      赤経のハンチングは殆どこれで回避できるはずである。

      ハンチングは収まったが、durationを小さくしたことでガイドが追いつかなくなる
     (中央からどちらかに寄り気味になる or 周期の長い波がある)ようなら、
    
        Max RA duration をいま下げた値より少し大きくし、ガイドが追いつくように)、
      RA Aggressiveness を下げることで(ハンチングしなくなるように)。
         これを試行錯誤して、この2つパラメーターのバランスポイントを探る。

     B.赤経(RA)の細かな周期の波(波の中心はグラフ中央付近)があることが原因で
    目標RMSを達成してないと考えられる場合。
    ① RA Aggressiveness を小さくしてみる。
       * 10程度小さくしては、ガイドを数分させて様子を見ると良いだろう。
      * 満足できるところを見つけたら、それ以上は小さくしない。

   C.赤経(RA)が中央からどちらかに寄り気味、または、周期の長い波になっていることがで、
    目標RMSを達成していないと思われる場合
    ① Max RA duration を大きくしてみる。
       * 0.2秒程度大きくしては、ガイドを数分させて様子を見ると良いだろう。
      * 満足できるところを見つけたら、それ以上は大きくしない。


  D.ここまで調整がつかない場合は、ここまでケースで最もマシな設定にしたうえ、

   ハンチングが満足しない傾向ならば、
   ① Min. motoinを大きくする。(ガイド精度の妥協)
   
   ハンチングはなく、ガイドが追いつかないならば
      ② Min. motionを小さくする。
      を試してみる。
 


■赤緯(DEC)

  A.赤緯(DEC)がハンチングする場合
      ① Max DEC duration   を小さくしてみる。
      * 0.2秒程度小さくしては、ガイドを数分させて様子を見ると良いだろう。
     * ハンチングが安定して収まるところを見つけたら、それ以上は小さくしない。

       ハンチングは収まるが、durationを小さくしてことでガイドが追いつかなくなる
       (中央からどちらかに寄り気味になる or 周期の長い波がある)ようなら、
    元に近い値まで(大きい方)へ戻して、

    ② 赤道儀の赤緯のモータースピードをキャリブレーション後10~30%程度遅く設定してみる。
         これはキャリブレーションをやる毎後に行わねばいけない。
     (キャリブレーションをするときには元に戻して、キャリブレーション後にまた遅く設定する)
         * 赤緯で赤経のRA Aggressivenessのような効果を狙う意味がある。

  B.赤緯(DEC)の細かな周期の波(波の中心はグラフ中央付近)があることが原因で、
   目標RMSを達成していないと思われる場合
    ① 赤道儀の赤緯のモータースピードをキャリブレーション後10~30%程度遅く設定してみる。
         これはキャリブレーションをやる毎後に毎度行わねばいけない。
     (キャリブレーションをするときには元に戻して、キャリブレーション後にまた遅く設定する)
         * 赤緯で赤経のRA Aggressivenessのような効果を狙う意味がある。

  C.赤緯(DEC)が中央からどちらかに寄り気味、または、周期の長い波になっていることがで、
   目標RMSを達成していないと思われる場合
   ① Max DEC duration を大きくしてみる。
      * 0.2秒程度大きくしては、ガイドを数分させて様子を見ると良いだろう。
     * 満足できるところを見つけたら、それ以上は大きくしない。

  D.ここまで調整がつかない場合は、ここまでケースで最もマシな設定にしたうえ、

   ハンチングが満足しない傾向ならば、
   ① Min. motoinを大きくする。(ガイド精度の妥協)
   
   ハンチングはなく、ガイドが追いつかないならば
      ② Min. motionを小さくする。
      を試してみる。
 
   Min.motionをいじると煮詰めた赤経のガイド精度にも影響してしまう。残念ながら。

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コメント

大変ご無沙汰いたしております。お元気ですか?

私もSSAG+PHD Guidingのユーザーです。
使う鏡筒で当然違うのですが、250RC+オフアキSSAG+NJP-Temma2の時の「Max DEC duration」の値がなかなか定まりません。
というのも赤緯を基準に値を小さくすると赤経がいくらも動かず、赤経を基準に値を上げると赤緯が視野から外れます。とりあえずの暫定値を350にしてなんとかなっていますが、グラフを見ると地震波のよう(チョット言い過ぎ)です。ST-4はそれぞれで設定できましたから、もどかしいところです。

投稿: ryojin | 2011年12月17日 (土) 19時40分

ご無沙汰しております。HPの更新とBlogの開設、見つけていただいたようですね。

さて、もしかすると一部誤解されているかもしれませんよ、
PHDのDurationは、ST-4にはない概念です。ただ、分かりやすくいうと「タイムリミッター」のようなものです。「これ以上はガイドの修正を出しません」の時間です。キャリブレーションの時間とも、ST-4にはあったHA(ヒステリシス)パラメータとの異なります。ちなみにリミッター機能(外から強制的に信号を切ってしまうのですが)装置もショップで販売していましたね。

Dutationの意味はそのようなものであり、そして「Max DEC duration」はDec(赤緯)にしか影響(というか効果)がありません。もし、赤緯、赤経、別で設定されたのであれば、Ver1.13ではMax Dec Durationと、Max RA Duration が用意されました。いずれもハンチング(これはもうキザキザという程度ではなく、発振、発散してしまう程度のこと)しないならば長くても構わない(短いとガイドが追いつかない)程度の「ハンチング避け」のようなパラメータです。

ところで、「キザキザ」度合いはどのくらいでしょうか?2000mmですから、例えガイドがうまくいっていようとも、シーイングだけでRMS0.5とかそれ以上になることも十分に考えられるのですが、いかがでしょうか。

投稿: もりむら(管理人) | 2011年12月17日 (土) 23時22分

M&Mさん、こんにちは。PHD Guidingの詳しい解説をありがとうございます。
深く調べ込むのが苦手な人間なもので、まったくもって申し訳ない次第です。

ちょうどパラメーター設定に躍起になっていたのが約1年ほど前です。途中ですが、下記のパラメーターを中心にやっていました。

http://astro-ryojin.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/index.html

「Max DEC duration」については、キャリブレーションの際に、最大限伸ばしたいとの考えから値を追っていましたが、350位でないと、赤緯が帰ってこないので350位にしています。

RMS値ですが、0.3位を目標値にしていましたが、0.5位であれば良いほうで、1.0を超えることもしばしばでした。

投稿: ryojin | 2011年12月18日 (日) 13時41分

そして、RMSですが、2000mmのガイド鏡(オフアキ)では0.3は実現し得ないと思われます。シンチレーションだけで軽く0.5超えるはずです。2000mmのSSAGですと、1ピクセルが0.5秒角ですから。私の小さい機材からは想像のできない世界ですが。。。

ですから、0.5から1.0程度だと、シーイングサイズそのもの程度だと考えられます。撮影した星像が丸であるか、グラフ自体は中央に対して対称ならば、この焦点距離ではそんなものなのかもしれませんよ。

そして、PHDの「Max DEC Duration」 ですが、ST-4のC1やC2と混同しそうですが、違うものです。キャリブレーションとは関係ありません。「Max DEC Duration」はガイド中のガイド指示を出す最大の時間です。PHDでキャリブレーションに関係があるのは、「Cariblation Steps」だけで、「PHD」の名前のとおり、キャリブレーションは(PHDの勝手で)融通が利きません。赤経は往復それぞれ15ピクセル以上動くまでキャリブレーションをするようです。赤緯は、基本的にモータースピードはどの赤道儀であっても北方向南方向同速ですから、一方向15ピクセル以上動かして速度を測定し、逆方向は動いたら(バックラッシュの時間が分かったら)そこで終わりにしているようです。理にはかなっているかなと思います。


ST-4感覚で自分で決めたければ、他のソフトがよさそうですし、PHD(Push Here Dummy)したいなら気楽にPHDを使うことをお勧めします。趣味ですしね。

投稿: M&M(管理人) | 2011年12月18日 (日) 22時23分

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